
Photo by Drum Corps International
DCI公式サイトで、ブルーデビルズ2026年プロダクション『ZEI』のレパートリーに関する記事が公開された。
『ZEI』は、ギリシャ神話のイカロスをもとにした2026年ブルーデビルズのプロダクション。一般的には「高く飛びすぎた者への戒め」として語られるイカロスの物語を、ブルーデビルズは人間の限界を越えようとする衝動や生命力として捉え直している。DCI公式記事では、発表されたレパートリーの中から、特に注目したい4つのポイントが紹介されている。
1. 映画音楽の存在感(Absolute cinema)
まず取り上げられているのは、映画音楽の存在感。Hans Zimmerの「Escape」とLudwig Göranssonの「Posterity」が選ばれており、壮大なテーマを支える音楽として注目されている。Hans Zimmerは、2025年ブルーデビルズ『Variations on Gathering』でも『Interstellar』や『The Creator』の音楽が使われており、2年連続でレパートリーに登場する形となっている。
今回の「Escape」は、2015年のアニメーション映画『The Little Prince』からの楽曲。一方、Ludwig Göranssonの「Posterity」は、Christopher Nolan監督の映画『Tenet』から選ばれている。ブルーデビルズは2024年『The Romantics』でも『Oppenheimer』の「Can You Hear the Music」を使用しており、映画音楽のスケール感や緊張感をショーに取り込む流れが続いている。
2. 飛行への衝動(Given to fly)
John Mackeyの「Turbine」は、『ZEI』の冒頭から「飛ぶ」というテーマを強く打ち出す楽曲として紹介されている。Mackey自身の飛行機への恐怖から生まれた作品で、ジェットエンジンが速度を増していくような緊張感から、空へ飛び立ったあとの開放感へと音楽が変化していく。イカロスの物語を、ただの神話ではなく心理的な飛翔の物語として見せるうえでも、かなり意味のある選曲となりそう。
DCI公式記事では、John Mackeyが近年のドラムコー界でも重要な作曲家であることにも触れている。2024年キャロライナ・クラウン『Promethean』のラストを飾った「Fission」もMackeyの作品。ブルーデビルズがMackeyの作品を取り上げるのは、2005年『Dance Derby of the Century』の「Redline Tango」以来となる。一方で「Turbine」は、2008年にBlue Devils Bのプログラム『Flight』でも使われており、約20年を経てAコーへ戻ってきたようなつながりも感じられる。
3. ブルーデビルズらしい王道バラード(The classic Blue Devil ballad)
Allan RichとJud Friedmanによる「I Just Had to Hear Your Voice」は、ブルーデビルズらしいバラードとしての役割が期待されている。Oleta Adamsによって歌われた1990年代R&Bの楽曲で、DCI公式記事では、ドラムコーのフィールドではこれまで演奏されていない楽曲として紹介されている。
ブルーデビルズは、ポピュラー音楽をドラムコーらしい大きなバラードへ変化させることに長けたコーでもある。近年では、2023年の「Both Sides Now」や2022年の「Moon River」が、それぞれのショーの感情的な中心として印象を残した。今回の「I Just Had to Hear Your Voice」も、ショーの中で一度テンポを落とし、観客に静けさや感情の深まりを届ける場面となりそう。
4. 音楽を組み上げる設計者(The master architect)
最後に紹介されているのが、Dave Glydeのオリジナル曲「Assembly」。Dave Glydeは長年ブルーデビルズの音楽を支えてきた存在で、2023年にはDCI殿堂入り(Hall of Fame)にも選出されている。今回の『ZEI』で、Glydeの名前は11年連続でブルーデビルズのレパートリーに入ることとなる。
DCI公式記事では、Glydeの役割をブルーデビルズの音楽をつなぐ存在として紹介している。Philip Glassのミニマルな音楽から、John Mackeyのジェットエンジンのようなサウンドまで、異なるジャンルや質感の音楽をひとつのショーとしてまとめ上げる。その設計力こそが、ブルーデビルズの音楽づくりを支える大きな要素となっている。
ブルーデビルズは、6月27日にコロラド州フォートコリンズで2026年シーズンのファーストショーを迎える予定。ショータイトル『ZEI』、発表済みのレパートリー、そして今回のDCI公式記事で紹介された4つの注目ポイントを踏まえると、イカロス神話をどのようにフィールド上で描いていくのか、ますます気になるところ。
BOBuilding(ボビる)では、すでにブルーデビルズ2026年ショータイトル『ZEI』の記事と、「原曲を聴こう!」記事を公開している。今回のDCI公式記事をあわせて読むことで、各曲がどのようにショーの世界観へ結びついていくのか、さらに想像しやすくなる。
※本記事はDCI公式ニュース(2026年6月17日)をもとにまとめています。
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