
Photo by Drum Corps International
DCI公式サイトで、キャバリアーズがミシガン州エイドリアン大学で行った、2026年春季トレーニングの様子が紹介された。約80年の歴史を持つ同コーが本年重視したのは、すぐに結果を求めず一歩ずつ積み上げるプロセスと、セクションの垣根を越えて深める仲間としての結束だった。
一歩ずつ積み上げるプロセス
金管セクションの学生リーダー、ザック・ハーパーは、メンバー全員がプロセスを大切にし、一歩ずつ進む考え方を共有していると語る。ドラムコーのショーは、練習を始めてすぐに完成や達成感が得られるものではない。特に若いメンバーも含めて、目の前の課題に集中しながら積み重ねていく姿勢が、コー全体に浸透している。
カラーガードの学生リーダー、デヴィン・ヘアストンも、練習の日々は落ち着いて感じられながら、振り返ると驚くほど多くのことが進んでいると話している。長時間の練習をただ耐えるのではなく、その瞬間に集中し、自分が今いるべき場所にいるという感覚が、密度の高い春季トレーニングにつながっている。
セクションを越えて育てる結束
キャバリアーズが2026年に特に力を入れたのが、異なるセクション同士のつながり。打楽器以外のメンバーがフロントアンサンブルを訪れ、4本マレットの持ち方を学ぶなど、普段は触れることのない役割を体験する機会も創られた。こうした小さな交流が、互いの仕事への理解を深め、フィールド上で共に演じる仲間としての結束へつながっている。
練習方法も例年とは変え、ショーを楽章ごとに学びながら、各セクションの完成度を高めてから全体へ結びつけていく形を採用した。そのため全員が集まる練習は以前より限られたが、かえって全体で過ごす時間が特別なものになったという。毎朝約15分、コー全員でその日の目標を共有し、日々違うメンバーと交流する時間も設けられた。
年齢制限メンバーに重なる『The Lost Boys』
本年プロダクション『The Lost Boys』は、ピーター・パンの物語を下敷きに、若さを守ろうと時間に抗う反抗的な若者たちを描く。年齢制限によって今シーズンが最後となるメンバーにとっては、自分たちの状況と強く重なるテーマでもある。
ハーパーは、キャバリアーズの一員として過ごせる時間が残り少なく、いつか成長して次へ進まなければならないという物語に、強い感情を抱いていると語った。ショーの内容が自分自身の経験と結びつくことで、演技にも自然な感情が生まれている。
グランジの衣装に隠された歴史
2026年の衣装は、グラフィックTシャツ、レザー風のジャケット、破れた網目状の装飾、チェック柄などを組み合わせたデザイン。1990年代のパンクやグランジ文化を思わせる一方で、2001年『Four Corners』や2003年『Spin Cycle』など、キャバリアーズの過去作品へのオマージュも隠されている。
セクションごとにジャケットの下の色やシャツのデザインが異なり、一人ずつ違う姿を持ちながら、同じ世界に生きるロスト・ボーイズを表現する。ニルヴァーナやサブライムなどの音楽を好むハーパーも、この衣装がショーのテーマやスタイルによく合っていると感じているという。
春季トレーニングとは異なり、夏のツアーでは毎日場所や環境が変わり、身体だけでなく精神的な対応力も求められる。キャバリアーズが積み重ねてきたプロセスと結束を、ツアーの中でどのようにパフォーマンスへ変えていくのか注目したい。
※本記事はDCI公式ニュース(2026年6月24日)をもとにまとめています。
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